伝統の味。首里餅菓子屋。

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行事やお盆の時には行列ができる人気店。

 創業63年の歴史を持つ首里餅菓子屋の代表者で2代目の西原清次郎さんにお会いしてお話を聞かせていただいた。

 西原さんは、母・秋さんが亡くなった後、店を継承された。

「それまで銀行に40年間おりましたよ」

とのこと。ご両親には銀行に勤めてからも、家業を継いでくれるように懇願されていたそうだ。ご両親は常日頃から餅を作ることに大変喜びを感じておられ、

「おいしい餅を多くの人々に食べていただき、沖縄の行事を楽しく、喜んで、ご先祖様を敬い、大事に継承して欲しい」

という気持ちを聞かされていた。西原さんもその気持を汲んで、店を引継がれたようだ。

 西原さんのモットーは

「安く、おいしく、楽しく、喜んで沖縄の行事をサポートすること」

と、微笑んでおられた。

 お餅も、ご両親は当初白いお餅一種類でスタートしたが、その後、

「母の研究の積み重ねで、黒糖餅、菱餅、ナットウみそ餅等、そして人気No1のヨモギ餅も開発されたのです」

とのこと。亡き母に敬意を抱かれたそうだ。

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2代目の西原清次郎さん。

 現在、商品の種類は多い。1月は鏡餅、ナットウみそ餅、3月はひな祭りで菱餅、桜餅、4月は入学祝、合格祝い等で紅白のお餅、9月は十五夜のお月見でフチャギ餅、12月はカーサ餅(鬼餅)が並ぶ。お休みはお正月とお盆にあるが、注文が入ればお店は閉めていても工場で作っていることもある。朝の3時から親族等10名で仕込みが始まり、7時には店に出す。

 お餅は生き物で、気温や、寒さ、暑さにも敏感で、水かげんや、練り具会いにも微妙な調整が必要だと言う。機械のみでできる業ではないことがうなずける。

 それ故か、とても美味しい。耳たぶのような柔らかさで、小豆餡のほどよい甘さ加減、ヨモギ餅やカーサ餅(月桃の葉で包んだ餅)の独特の香りを楽しみながら食べてみてほしい。店頭に常時並んでいるのは、白餅、ヨモギ餅、黒糖餅、ピンク餅で、どれも1個90円(税込)。その他、お線香、白紙、蝋燭、打紙(ご先祖様の紙のお金)、法事や祝事用の重箱、盛菓子、折弁当等は他の業者さんと提携し、お客様の要望に備えているそうだ。拝みの仕方の本も置かれていた。

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拝みの際にそなえられる3段の「ウチャヌク餅」。

 西原さんは、1男3女の父。経理を担当する奥様の淳子さんは、縁の下の力持ちです、と言われていた。ご長男は修行中。親族で両親の残したものを守り、沖縄文化を支援するために頑張ります、と接客しながら話されていた。

 頑張っている皆さんのご健康とご繁栄を心から祈りたい。

本店、工場:浦添市前田1336-3、電話 098-876-0891

儀保店:那覇市首里儀保町1-27-3 電話 098-884-0891

栄町店:那覇市安里388(栄町市場内)電話 098-886-3630

翁長商店:那覇市場の水上店舗 電話 098-868-7353

取材、文:さっちゃん

沖縄のローカリティをビジネスに。Habu Box取材記。

7月11日、北谷町にあるHabuboxアカラ店をゼミ一同で訪ねた。

Habuboxは、1979年創業の沖縄発のファッションブランドである。沖縄の多彩でローカルな文化をモチーフにしたオリジナルTシャツの他、レキオシアンというブランドでかりゆしウェアも展開している。Habuboxでアートディレクターを務める名嘉太一さんにお話を伺った。

太一さん
アーディレクターの名嘉太一さん。

Habuboxを運営するのは、株式会社プロジェクトコア(読谷村)で、創業者は名嘉太一さんの父で版画家として知られる名嘉睦稔さん。デザインや広告などを手がける会社であるが、自分たちで企画・デザインしたオリジナル商品を売るために35年前、Habuboxブランドをつくった。名前の由来の説明はいろいろあるが、沖縄を象徴するハブ(ちょっと毒のある感じ)とビックリ箱(遊び心)のイメージという。最初はリゾートホテルなどで販売していたが、1985年に恩納村のムーンビーチホテル前に直営第1号店をオープンさせた。その後、北谷町美浜や那覇の国際通りにも店舗がオープンした。

HabuboxのオリジナルデザインのTシャツの数々。一番人気は、ゴーヤの視力検査Tシャツらしい。最高視力は5.8!(ゴーヤー)と書かれている。パイナップルバージョンもある。絵の具からジンベエザメやハイビスカスが飛び出す発泡インクの立体感のあるグラフィックのTシャツも人気。最近はオリオンビール、オキコパンなど、地元企業とのコラボTシャツもよく出ている。オリオン座とアリ!カンパーイを組み合わせたデザインは、夜になると光る!

パイナップルT
こちらはパイナップルバージョンの視力検査Tシャツ。
エノグ
絵の具Tシャツ。発泡インクが使われていて立体的。よく見るとジンベエブルーとか、ハイビスカスレッドとか、ゴーヤーグリーンとか、色の名前もローカル。
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オリオンビールとのコラボTシャツ。ゼブラパン、ファミリーサンドなど、コアなコラボTシャツもある!

Tシャツのパッケージは昨年からオリジナルの箱を使っている。箱には商品の絵柄の説明や、ストーリーが書かれている。在庫管理も容易になったという。

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オリジナルの箱入り。サイズや絵柄がわかるので広げる必要がない。

新しいことにどんどん挑戦しているHabuboxだが、「ぽろゆし」という柄の入ったポロシャツも手がけている。リゾートウェアとして観光客へも人気で、県内のビジネスマンの仕事着としても定着している。なんと糸の染め、編み、生地の生産から始め、縫製まで中国で行っているそうだ。ぽろゆしは、琉球イオンとの提携でデザインを提供し、琉球イオンとのコラボラインもある。

ぽろゆし2-
明るい柄のぽろゆし。
ぽろゆし2
シックな色合いのデザインもある。

こちらはHabuboxが手掛けているレキオシアンのかりゆしウェア。かりゆしウェアは沖縄で縫製されているもので、工程にも厳しい基準がある。睦稔さんの版画をプリントした大胆なグラフィックのデザインで、他では見ないタイプ。

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名嘉睦稔さんの版画がプリントされたかりゆしウェア。
レキオシアン
レキオシアンのカラフルな長袖シャツ。

カラビサソックスは、5本指で指先がない。夏に汗をかいてサンダルがはけなかった太一さんの個人的な体験から生まれた商品で、意外に共感され、売れる商品になったという。島バナナやゴーヤー、もずくなどのモチーフをトーンで表現した微妙な色彩の編みのソックスで、サンダル履きと合わせてコーディネートするリピーターも多く、おみやげとしても人気になっている。いかに共感してもらえるかが、商品の力になる。

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カラビサソックスについて話を聞く。うるまミックス、ゴーヤーモフモフ、ヤンバルクイナボーダーなど、ローカルなモチーフが微妙な色合いで表現されている。
カラビサ
島バナナイエロー、イリオモテヤマネコミックス。ほかにも、赤瓦屋根、もずく、イカスミ、アーサ、ジンベエザメ、打ち放しコンクリートのグレーなど。カラーバリエーションがおもしろい。

1985年の第1号店がオープンした時、太一さんは小学校5年生。かっこいいな、と漠然としたあこがれを持ち、高校はデザイン科に進学。卒業後は東京の専門学校で土木デザインを学んだり、内装の仕事をやったりした。20歳で帰郷、一般と同様に面接を受けて、父の経営するプロジェクトコアへ入社した。当初は、親子で仕事をする関係に戸惑いもあった様だ。その後、独立して焼き物を手がけたり、他社のブランディングにも携わった時期もあり、いろんな経験が今役立っているという。

「ローカルからグローバルにコンテンツやアイデアで勝負していかなくてはならない時代。Habuboxは沖縄のローカリティを売っている。沖縄は東京やニューヨークの真似はできないし、すべきでもない」

ビジネスの現場の話は刺激的でおもしろかった。名嘉太一さん、ありがとうございました!

みんなで
名嘉太一さんと、Habu Boxアカラ店2階にて。

 

HabuBoxアカラ店

〒904-0115 沖縄県中頭郡北谷町字美浜9-20

TEL:(098)936-8239

Email:akara@habubox.com

取材:ゼミ一同

写真と文:仲村、ヤンバラ〜、さっちゃん、O

鉄板焼きを囲んでにぎやかに!下町のもんじゃの楽しみ方。

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「下町」は沖大の近くにある鉄板焼きの店である。オープンして3年目を迎えた。学生や近隣の人々でにぎわっている。オーナーの啓司さんは東京の江東区出身。
「東京の下町といえば“江戸っ子”なんですか?」
と聞いてみた。
「おじいちゃん、おとうさん、子供と三代つないだ人が江戸っ子」
と啓司さんはにこやかに答えてくれた。三代目の啓司さんは、祭りが大好きで、店内にはハッピの下に着るピンク地に唐獅子模様の鯉口シャツが壁に飾られている。

「下町」の名物・もんじゃ焼きは、もともと食料不足の時に量を増やすために葉野菜等をかき集め、鉄板の上で薄く溶いた小麦粉と焼いたもの。焼くときにタネで文字を書いたりしていたから文字焼き→もんじ焼き→もんじゃ焼きになったとのことである。「下町」のもんじゃ焼きはトッピングが20種類以上ある。様々なトッピングで自分好みのもんじゃ焼きが楽しめ、常連客も多い。値段は500円~1000円で、キャベツがたっぷり、海産物なども豊富である。鉄板上で最初に油をひき、海産物をさっと炒めると香ばしくなる。2つのへらを使って手際よく、材料を細かく刻んで料理しながら食べる、おいしい食べ方を啓司さんが教えてくれた。

もんじゃ焼きの他にお好み焼きがある。トッピングの種類は同じぐらいあるが、お好み焼きの方が小麦粉のタネが少し硬めだ。トッピングを鉄板上で刻みながらかき混ぜ、中央に集めて厚さ4~5cmの丸い形にし、しばらく置くと焦げ目ができる。これをひっくり返して少し待つと、中央に割れ目が出てくる。鉄板上にケーキを乗せたような感じである。キャベツたっぷりでふんわりとしていて、食欲をそそられる。ソース(好みでマヨネーズ)、かつおぶし、青のり等をかけて、好みの味を楽しむことができる。かつおぶしは、乾物屋さんにお願いして、血合い抜きで小さくしてもらっている。歯に引っかからずに食べられる。

啓司さんはお好み焼きのふんわり感をだすよう心がけている。また、焼きそばには、昆布とかつおぶしでとっただしを力水として使用している。そばはやわらかく、味がしみてとてもおいしい。

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店内の壁には、たくさんの日本酒のラベルが貼られている。沖縄は四季の変化を感じづらいので、四季の日本酒で多様であることを少しでも感じてほしいという。

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鉄板焼きを囲んでもんじゃ焼きやお好み焼きを食べ、おいしいお酒をのみながら会話が楽しめる場を用意したい、オープンな席なので、お客さん同士にも隔たりなく会話を楽しんでほしいと啓司さんは思っている。
にぎやかに鉄板焼きを囲みながら、ひとときを過ごすのはいかがでしょうか。

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下町
住所:那覇市長田2-5-18丸政アパートA棟103
営業時間:16:00~24:00(ラストオーダー23:00)
定休日:水曜日

取材、文:さっちゃん、マックスもっとぅ

ハンバーグがうまい!おしゃれなR-cafe。

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私のお気に入りのカフェ、R-Cafeを紹介したい。このカフェは、沖縄大学の正門を寄宮方向に100メートルほど行ったところにある。こじんまりした店内にはカウンターとお座敷席がある。カウンターの上にはかわいいフィギュアや雑貨が置かれていて、おしゃれで明るく、だけどきちんと整然とした雰囲気だ。

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店名の由来は、カフェを経営されている早川さんご夫婦の息子さんと娘さんの頭文字がRだから。早川さんは沖縄に住むことが長い間の夢だった。幼稚園の頃、家族と沖縄へ旅行に来て沖縄が好きになり、時々沖縄に訪れるようになり、リタイアした時には沖縄に住もうと考えるようになった。しかし、東日本大震災がおこり、住んでいたアパートが損壊、どうしようと思ったときに、いつかは住もうと思っていた沖縄に行くことを決めた。早川さんのイメージに近かったのがこの長田の場所と物件だった。

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お二人は若い人たちと関わるのが大好きだそうで、店の近くには大学や高校がある。学生たちに「質が良く、安くておいしいものをたくさん食べさせたい」と思っている。この道28年の経験豊かなオーナーがつくる絶品メニューの数々だが、一番おススメはハンバーグだ。ハンバーグに使われている牛は、常陸(ひたち)牛という牛で、茨城県産の黒毛和牛である。肉質の良さで知られるブランド牛で、キメ細かさと脂の甘みが特徴だ。常陸牛と豚肉をR-Caféオリジナルの割合で混ぜ、ふんわりと舌触りのなめらかな触感がある独特の味を出している。大きさは150g(!)もあり、満腹感もある、ガッツリ食べたい学生にはもってこいのボリュームだ。

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デザートでは、早川さんこだわりのワッフルがある。ワッフルの材料の粉は県外から取り寄せているそうで、極秘の配合である。一度食べればやみつきでリピーターになる人も多い。

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ご夫婦二人とも気さくで温かい。店内では楽しくお二人と話をすることもある。まだ行ったことのない方は、ぜひ一度立ち寄ってみてほしい。オーナーがつくるこだわりのおいしい料理を食べ、楽しい時間を過ごせるはず。

画像 お得なランチ。

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補足情報あり。

R-cafe

住所 :沖縄県那覇市国場692番地サードコーポ106

電話番号:098−854−2177

営業時間: AM11:30~ラストオーダー22:00

定休日:日曜日

取材、文:マックスもっとぅ、さっちゃん