沖縄県産アボカドについて調べてみた!

アボカドは、おいしく健康にもいいと注目され、国内需要は右肩上がりです。
近年では、「国産アボカド」も生産されるようになってきました。沖縄でも熱帯果樹の産地として、アボカドの生産に取り組む人が少しずつ出てきています。
私たちのグループでは、アボカドの基本的な情報や生態について調べ、県内で実際に栽培されている農園でお話を伺ってきました。
   


アボカドとは

Photo by Valeria Burdyka on Pexels.com


アボカドは、中央アメリカが原産のクスノキ科・ワニナシ属の樹木で、主に熱帯・亜熱帯で生育します。
野菜的果実と呼ばれ、果物でありながら野菜のように食べられています。
アボカドはギネスブックにも、世界一の栄養価の高い果物として認定されています。
アボカドは中米からメキシコ系、グアテマラ系、西インド諸島系の3つの系統に分けられます。
(参考:https://okinawan-avocado.com/2019/12/30/avocado_variety/)
 
●メキシコ系 
メキシコ―ラやメキシコ―ラグランデなどのメキシコ系の寒さに強い品種です。果実の大きさは100g前後と小ぶり。果皮の色は黒紫色、果肉の色は淡い黄色です。


●グアテマラ系
ハスやリード、ニムリオなどはグアテマラ系のアボカドです。果実の大きさは様々で、大きいものだと500gほどになります。ハスと呼ばれる品種が、私たちがスーパーなどでよく見かける小ぶりなアボカドです。果皮の皮はごつごつしており、果肉の色は黄白色です。


●西インド諸島系
西インド諸島系のアボカドは寒さに弱い品種です。カビラムラサキやカビラキイロなど、沖縄県の石垣島生まれの品種もあります。
果実の大きさは500g前後から1kgを超えるものもあります。果皮の色は緑色や赤みを帯びた緑色、果肉の色は黄色です。


   
世界での生産状況


019年の世界でのアボカドの生産量を見ると、メキシコが32%、ドミニカ共和国が9.2%、ペルー7.5%、コロンビアが7.5%と原産地に近い中南米地方の生産量が多いです。インドネシアが6.4%で5位にランクインしていることから、アジアでもアボカドの生産が行われていることがわかります。
(参考:https://urahyoji.com/crops-avocado-w/)
  
日本での生産状況


日本での2018年のアボカドの生産量は和歌山県が76.8%、愛媛県が15.8%、鹿児島県が7.4%と、この3県で国内生産量のほとんどを占めています。
(参考:https://urahyoji.com/crops-avocado/)
和歌山県や愛媛県は、ミカンの栽培がとても盛んですが、アボカドは手間暇がかからない果実であること、傾斜地での生産に適していることから、近年ミカン栽培から転換している農園があるとのことです(糸満フルーツ園けんちゃん、上原さん談)。
アボカドの国内生産量は増えているとはいえ、年間千トンが輸入されているのに対し、国産アボカドは10トン程しか出荷されていません。
        

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実際に、沖縄でアボカドを栽培されている「糸満フルーツ園けんちゃん」を現地訪問させていただき、上原賢祐さんにお話を伺いました。

アボカドの木の前で説明してくださっている上原賢祐さん。熱帯果樹系youtuberです!

上原さんは沖縄県生まれで父親の賢俊さんと共に、アボカドをはじめとする様々な熱帯果樹を栽培されています。賢祐さんは山口大学大学院に在籍されていますが、2019年に休学して沖縄に戻り、熱帯果樹の栽培を始めたそうです。現在はアボカドをはじめとする熱帯果樹や野菜の栽培、農家の日常などの情報をyoutubeで発信されています。Youtubeチャンネルの登録者数はなんと1万5千人超!アボカド栽培のノウハウ、県内外の生産者との交流や、海外の論文の情報などもわかりやすく伝える人気チャンネルとなっています。

こちらが「けんゆーの無農薬栽培チャンネル!」。チャンネル登録者は1万5千人超です!

伺ったのは2021年10月。

上原さんの農園では、現在120本のアボカドの木を栽培しており、年間300〜500個のアボカドを収穫しているそうです。その他にもバナナやアテモヤ等の熱帯果樹も栽培されています。無農薬無化学肥料の栽培で、肥料には枯葉や虫の死骸、動物の糞など、自然のものを利用。地下水脈があるため、灌水は降水のみで、水やりもしていないとのことでした。

すでに収穫は終わっていましたが、少し残っていたものを見せていただきました。

アボカドには袋がかけられているのではずして見せてもらいます。
ピンカートンという種類のアボカド。

アボカドを種から育てて実をつけさせるには10年ほどかかることもあり、時間がかかるため、上原さんはすでに実をつけたことのある木を穂木として、接ぎ木を行う手法をyoutube で詳しく紹介されています。家庭菜園でも活用できるとのことです。

継ぎ木のやり方を実際に見せていただきました。

ひとつの台木に実験的にさまざまな種類の穂木を接ぎ木している様子です。

詳しくはこちらをどうぞ!

         

アボカドの木の高さは、10m程度のものから20〜30mまで伸びるものもあります。

一度も剪定したことがないアボカドの木。

沖縄県内でのアボカド栽培はまだ少なく、本格的な経済栽培は限られているとのことです。
糸満市のほか、東村や石垣島などにアボカドを栽培されている農園があります。
アボカドは単価の高い果実であり、沖縄の気候風土にも合うため、今後新たな県産熱帯果実として伸びていく可能性があります。
アボカドがたわわになる風景。地元で採れたアボカドが食べられる地域、、、って魅力的ですよね!
沖縄の地域としての魅力を上げていく農産物のひとつとして、県産アボカドの今後に注目していきたいと思います!


上原さん、ありがとうございました!

賢祐さんの左はお父さんの賢俊さん。お二人にお話しを伺うことができ、たいへん勉強になりました!

文責:比嘉、黒澤
編集:O

那覇マグロを知っていますか?

沖縄県で最も漁獲されている魚は、実はマグロ類です。また県内のマグロ水揚げ量の約半分は那覇市で水揚げされおり、那覇の近海で水揚げされたマグロのことを「那覇マグロ」と呼んでいます。

那覇では、本マグロ(クロマグロ)、キハダマグロ、メバチマグロ、ビンナガマグロの 4 種類のマグロが水揚げされます。それぞれ旬の時期がずれていることから、那覇では年間を通して様々なマグロを食べることができます。他府県でも同じマグロ類が水揚げされていますが、大きく違うのは漁場の近さです。那覇マグロの場合、那覇近海で漁獲しているためほとんどが生で流通していますが、 他府県のマグロ類はほとんど冷凍で流通します。新鮮なマグロを年中手に入れることができるのが那覇の食の魅力。那覇マグロは、那覇の食文化にとって重要な存在です。

私たちのグループは、2021年10月、那覇市泊にある那覇地区漁協にセリの見学に行ってました。セリの見学は現在新型コロナ禍のため中止されているのですが、今回は特別の許可をいただいて、見学させていたくことになりました。

マグロのせりは朝の5時から開始です。なんと集合は朝の4時でした、、、。

並べられているマグロはこちら。迫力満点です。

セリでは、帽子の色で役割がわかるようになっています。

赤い帽子の人がセリを運営しています。

オレンジの帽子の人は魚を買う人で買い受け人と呼ばれます。セリでは登録した人しか買うことが出来ません。登録している会社は50数社とのことです。

青い帽子の人は生産者側で、生産者もしくは委託して魚をセリに出している人です。

買い受け人は手に持っている小さな黒板で、マグロ1キロ分の値段を書くのですが、赤い帽子の人は高い値段を一瞬で見分けています。同じ値段を書いている人がいたら、じゃんけんをしたり譲り合ったりするそうです。

鮮度のいいマグロの見分け方について。鮮度は見た目だけでは分からないため、マグロの尻尾の近くを切り、身が固ければ鮮度が良く、身が柔らかければ鮮度が落ちると判断されます。鮮度が落ちると値段が安くなります。

マグロ以外にも沢山の魚類が並べられていました。これらの魚はアゲセリと呼ばれるオークション式で取引されます。

セリの朝は早い。外は真っ暗です。
ミーバイ。高級魚です。
色鮮やかなイラブチャー。お寿司屋さんでこんな色の魚があるのは沖縄ならでは。
アバサー。見た目はこわい?ですが美味で知られる魚です。
手前はウツボ。煮付けなどで食べたりしますね。

那覇地区漁協の卸売市場は2022年の 10 月に泊から糸満に移転することになっています。港自体は糸満の方が大きく、県外の船も扱っているため今までよりも幅広い活動ができるようになるとのことです。

那覇地区漁協では、鮮度の良い生鮮マグロも販売しています。セリの見学はしばらくお休みですが、新鮮な魚を買うことができるので、ぜひ行ってみてください。

これで500円!

参考:那覇市経済観光部商工農水課「那覇マグロ」Webサイト

https://maguro.info

文責:新里、玉那覇、津嘉山

編集:O

写真:新里、玉那覇、津嘉山

キッチンカーについて調べてみた その1

こんにちは。
沖縄大学経法商学科専門演習小野ゼミです。
新型コロナ禍でしばらく更新をお休みしていましたが、久しぶりに情報をアップします。
2021年度のゼミは【那覇とその周辺の食】をテーマに活動しました。新型コロナ禍の合間をぬって、グループで調べたり、現地調査に行ってきました。

1回目はキッチンカーについてです。


「キッチンカー」とはざっくりいうと移動販売車のことです。中でも食品調理設備を備えた車両を(その場で調理したものを販売する移動販売車)をキッチンカーと呼びます。沖縄でもキッチンカーをよく見かけるようになりました。スーパーの駐車場とかイベント会場などでも見かけます。

 キッチンカーは増えているのでしょうか?沖縄のデータはなかったので、東京都のデータを見てみました。東京都福祉保健局の調査報告によると、移動販売車(キッチンカー)は、年々右肩上りに増加しており、平成16年〜26年の10年間で約2倍になっています。

 若い人が多く営業しているようにも見えますが、キッチンカーを開業するにはどんな手続きが必要なのか?どのくらいの費用がかかるのか?キッチンカーのメリットとデメリットは何か?について、調べてみました。

キッチンカー「Milk Bomb」の黒糖きなこ入りタピオカミルクティ

開業するためには(資格と許可)

キッチンカーで飲食業を営む場合、営業する人は「食品衛生責任者」の資格が必要となります。自治体による食品衛生責任者養成講習を受講しますが、沖縄では、8250円で取得することができます。

また、車(お店)についても、飲食営業許可が必要となります。許可証は、販売するものによって3つに分けられます。

飲食店営業

 →ランチ全般、たこ焼きなどの軽食他、料理を扱うもの。

・菓子製造業

 →たい焼き、大判焼き、スイーツ系など。

・喫茶店営業

 →ドリンクのみを扱うカフェ系。飲食とカフェを一緒に

  扱う時は、飲食営業。

どの許可も有効期限は5年とのことです。

小さなキッチンカーでも豊富なメニュー!

開業時に必要な資金

開業時に必要な資金について「小さな人気店をつくる!移動販売のはじめ方」(平山晋、同文館出版、2015年)に事例が紹介されていたので一部抜粋して紹介します。

開業時に必要な資金は、車選びや、車の外観、メニュー費用など、キッチンカー(お店)の制作時に大きく変わります。

軽ボックスまたは軽ワゴン車の購入は、中古なのか新車なのかにもよりますが、必要な費用が80〜250万円。

その他の費用は下の表のように、30〜80万円くらいかかるようです。

軽食例(たこ焼き)ランチ例(カレー)
調理するために必要な費用(道具など)10~15万20~30万円
キッチンカーをお店にする費用3~10万円(看板やメニュー表など。クオリティーによって差が出る)3~10万円(看板やメニュー表など。クオリティーによって差が出る)
営業に必要な費用1〜5万円(リーフレット・ショップカードなど)1〜5万円(リーフレット・ショップカードなど)
その他消耗品、備品1~2万円1~2万円
許可・資格・保険などに必要な費用4万円4万円
仕込み場所の取得に必要な費用なし10~30万円
合計約30-40万円約40~80万円

また、1ヶ月の運転資金は、原材料費、燃料代、出店料、移動販売車の維持費、通信費、水道光熱費などで、約40万円程度かかり、開業時には最低でも、開業資金+運転資金(最初の1ヶ月分)が必要となるとのことです。

とはいえ、固定店舗では通常1千万円程度の開業資金が必要です。キッチンカーなら300万円以内で開業でき、場所も移動できることから柔軟な営業が可能というメリットがあることがわかりました。

参考文献:小さな人気店をつくる!移動販売のはじめ方(平山晋、同文館出版、2015年)

文責:内山

写真:池原

編集:O

沖縄の新しい農産物その5: ウコン

ウコンは、熱帯、亜熱帯を中心にアジア、アフリカ、中南米と世界中に分布しているショウガ科の多年草です。ショウガやニョウガなどの仲間で美しい花を咲かせます。国内では主に沖縄、種子島、石垣、屋久島、奄美大島、鹿児島などで栽培されています。じつは沖縄は、日本最大のウコン栽培地です。

ウコンの英名は「ターメリック」と呼ばれ、中世のラテン語を語源とし、「土地の恵み」という意味とのことです。現在では、粉末やお茶などで商品化が進み、手軽に入手できるようになっています。注1)

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【ウコンの歴史】

ウコンの歴史は、インドから始まったとされ、カレーの材料として知られています。カレーの黄色い色はターメリック、つまりウコンの色です。

インドは紀元前からアーリア族という遊牧民族が、ウコンが太陽の色をしている事から豊作を祈る神聖な儀式に利用されてきました。

日本では、卑弥呼の時代から存在したと言われています。古くから染め物として使われ、殺菌・防虫効果があるとされており、卑弥呼が中国の王にウコンを献上したという記録があるそうです。沖縄では「うっちん」と呼ばれ、琉球王朝時代に珍重され、厳しい管理のもと専売制度が敷かれたほどでした。注2)

【ウコンの成分】

ウコンの成分でよく知られているのがクルクミンです。クルクミンは、ウコンの色素成分でポリフェノールの一種に分類されています。肝機能を強化し、胆汁の分泌を促進させる作用がある他、ミネラルが豊富で美容効果やダイエットにも向いているとか。

よく知られているのは、二日酔い予防などの効果です。注3)

【ウコンの生産状況】

ウコンの世界の生産量は約110万トンでした(2005-2006年)。原産地であるインドが生産・輸出量ともに世界一で、世界の生産量の8割を占めています。中国、ミャンマー、ナイジェリア、バングラディシュが続きます。タイやインドネシアでも栽培されています。注4)

【沖縄長生薬草本社】

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沖縄のウコン栽培、ウコン製品でもっとも知られているのは、沖縄長生薬草本社です。私たちは2019年7月に同社を訪問させていただきました。注5)

沖縄長生薬草本社は、45年前に創立されました。元々薬草が好きだった社長が立ち上げた会社で、現在1000種類の薬草と150種類の薬草を生産しており、サプリメントや薬草茶を作っています。

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沖縄長生薬草本社のウコンの生産量は日本一。その中に沖縄皇金ウコン(秋ウコン)という、同社が品種改良によって開発した新品種のウコンがあります。

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他にも春ウコンや紫ウコンが栽培されています。

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南城市にある広々とした同社の農園の8、9割はウコンで、契約農家にも栽培してもらっているそうです。ウコンの栽培は比較的容易で、農薬不要、虫がつかず、病気も基本なく、ビニールハウスが不要で露地栽培可能とのことです。しかし、水は比較的多く必要とのことでした。

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現在、栽培が需要に追いついていないそうです。ウコンの収入は高いのですが、基幹作物のような補償制度がないため、なかなか農家が栽培に動いてくれないということが背景にあるようです。

(その他の薬草類)

2014年からは栽培されている黒ニンジンは、世界的にも希少品種とのことです。日本国内では沖縄や九州の一部地域でのみ栽培されており、トルコでは健康増進、栄養補給のため愛飲されているそうです。沖縄長生薬草本社では実際に直接トルコ内陸部での栽培法を学び、沖縄の自社農園で栽培しています。

沖縄長生薬草本社のもうひとつの人気商品は、ノニです。ノニは八重山青木と呼ばれ、主にノニを発酵させ絞ったノニジュースとして飲まれています。ノニは宮古島の農場でノニを栽培されています。

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沖縄長生薬草本社はこの他にも多くの薬草類を自社や契約農家で栽培、加工販売しています。

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グアバ。薬草茶として人気。

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ヒハツ(ピパーチ)。香辛料として使われる。

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沖縄長生薬草本社の農園。

【まとめ】

ウコンは栄養価の高い食品であり、健康食品としても注目されています。聞き取りにより、価格が高く、市場の需要も伸びており、沖縄における付加価値の高い農産物として重要な商品であることがわかりました。沖縄長生薬草本社の皆さん、ありがとうございました。これからの沖縄の可能性を広げるウコンに今後も注目していきたいと思います。

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沖縄長生薬草本社のショップ。さまざまな薬草茶やウコン製品を購入できる。

 

担当:よなみね

編集:O
注1:[https://www.okinawajoho.jp/ukon/0_ukon.html]

注2: [https://www.okinawajoho.jp/ukon/0_ukon.html], [https://turmeric-guide.net/archives/18], [http://www.kappou-ichi.com/02.html]

注3:[ http://www.kappou-ichi.com/003.html]

注4:[https://voxspice.jp/spicestory/904][http://agritech.tnau.ac.in/banking/PDF/Tumeric.pdf]

注5:沖縄長生薬草本社:http://okinawa.cho-sei.co.jp/farm-factory/farm/

沖縄の新しい農作物その3: バニラ

バニラビーンズとは、ラン科バニラ属の蔓植物の実で、これを原料として抽出されるのが甘い香りのバニラと呼ばれる香料です。

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バニラのさや(バニラビーンズ)。バニラはラン科の植物です。

バニラの原産地は中央アメリカで、16世紀にスペイン人の征服者エルナン・コルテスがヨーロッパに伝えたと言われています。19世紀まではメキシコがバニラ取引を独占していましたが、19世紀の半ばにフランス領のレユニオン島で人の手で授粉させる技術が完成し、メキシコ以外の土地でも、バニラの商業栽培が行われるようになりました。

現在、世界の市場に出回るバニラのうち約8割はインド洋に浮かぶ島マダガスカルで生産されています。アジアでは、インドネシアが主要な栽培地として知られています。

バニラビーンズの価格はここ数年高騰していて、2019年の価格は1キロ520ドル(6万円弱)。マダガスカル産のバニラは質が高いことで有名ですが、国内の菓子材料の通販では、50グラムで1万円を超える価格で販売されています。とても高価なため、関心も高まっています。

バニラビーンズは、樹上で数ヶ月完熟させた後、キュアリングと呼ばれる加工によって、さやの発酵、乾燥を促し、水分を飛ばしてバニラ独特の香りが出るようにします。キュアリングの過程には産地ならではの技術的ノウハウがあるようです。

さて、日本国内でのバニラの状況ですが、九州の久留米バニラが有名です。この久留米バニラの原料として、沖縄の農場からもバニラビーンズのさやが出荷されています。

さて、沖縄でも本格的にバニラの栽培から加工、製品化に取り組んでいる人たちがいます。

私たちは、2019年7月、読谷村座喜味にある「蘭ファーム・ナガハマ」の長浜真俊さんのバニラ農場を訪問させていただき、お話を伺いました。

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蘭ファーム・ナガハマの長浜さん。

長浜さんは本業とは別に、趣味で蘭を栽培していたそうです。バニラの栽培を始めたきかっけは、糸満の蘭協会からバニラの苗をもらったこと。

2015年に読谷村のハウスで本格的な栽培を始め、現在では814本のバニラを栽培しています。

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アーチ型の構造の中にバニラのつるが整然と並んでいます。

実がついたのは去年から。今年の2月には1万本を収穫することができました。
樹上で完熟させたバニラビーンズを収穫後、数ヶ月かけて発酵、乾燥させるキュアリングを行っています。

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美しくつやのあるバニラのさや。

訪問した時期には1カ月ごとにバニラがどのように変化するのか、琉球大学の研究者の協力を得て分析を行っているとのことでした。

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キュアリングの実験中のバニラビーンズ。

バニラはハウスの中で栽培する限り、消毒もいらず、それほど手間はかからないそうです。

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整然と栽培されているバニラ。

一番忙しいのは5月のゴールデンウィーク明けの1ヶ月。バニラの花が開花する時期で、花が午前中に一斉に開花し、午後にはしぼんでしまうため、急いで受粉させる作業を行わなくてはなりません。1ヶ月間、ほぼ休みなしで受粉の作業に取り組むそうです。

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香りをかいでみているところ。

「来年はぜひ手伝いに来てね!」と言われました。

バニラビーンズの熟成については試行錯誤中で、まだまだということですが、バニラが沖縄の名産になるようにがんばりたいとのことでした。

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とびきり甘い香りのバニラビーンズになりますよう・・たのしみです。

甘い香りの沖縄産バニラのアイスクリームやプリンを楽しみにしています!
長浜さん、ありがとうございました。

担当:まきの
編集:O

沖縄の新しい農産物その2:コーヒー

コーヒーはアカネ科のコフィア属に属する熱帯植物で、主に赤道をはさむ南北約25度のコーヒーベルトと呼ばれる地帯で栽培されています。

日本では小笠原、沖縄がコーヒーを栽培するのに適していると言われています。
最近では、元サッカー日本代表の高原直泰さんがネスレ日本と手を組んで、名護市の耕作放棄地にコーヒーを植える「沖縄コーヒープロジェクト」が話題になりました(2019年4月19日、朝日新聞)。

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コーヒーの実。

沖縄のコーヒーは、厳密に言うと「新しい」わけではありません。
最初に栽培されたのは大正時代です。大正13(1924)年に桃原農園を創設した尚順氏が北部で栽培した植物の中にコーヒーの木があったそうで、100年近く前になります。
第二次大戦後も何人か栽培している人がいたそうですが、沖縄コーヒーの先駆者と言われているのは和宇慶朝伝氏(明治39年生まれで104才で亡くなられた)で、うるま市の兼箇段でアラビカ種の「ニューワールド」というブラジル産のコーヒーの苗木を1960年代より栽培して広めてこられました。

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私たちも実際にコーヒーが栽培されている現場を見たいと思い、沖縄県国頭郡東村にある「ヒロ・コーヒーファーム」を7月に訪問させていただきました。

ヒロ・コーヒーファームは1993年設立のコーヒー農園とカフェで、今年で26年目になるそうです。現在、2代目の足立朋子さんが経営しておられ、お話を伺うことができました。

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初代は朋子さんの父である足立浩志さんです。浩志さんは大阪出身で、若い時にハワイのコナでコーヒー栽培をしている親戚の手伝いをした経験から自らもコーヒー栽培を目指したそうです。

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沖縄に移住し、当初はタクシーの運転手をやりながら、少しずつコーヒーの苗木を育てていきました。苗木は前述の和宇慶さんから分けてもらった「ニューワールド」です。浩志さんが栽培し、収穫した豆を家族で加工焙煎、朋子さんは販売とカフェというように仕事を分担して経営されていました。

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ヒロコーヒーファーム。

コーヒの木は、収穫できるまでに最低でも3年かかるそうです。12月〜5月に収穫ですが、沖縄は台風の通り道となっていることがネックになっています。ヒロコーヒーファームでも。元々1200坪の土地で育てていたとのことですが、7年前の大型台風によって大きな被害を受け、コーヒーの木もお店も壊滅的な被害を受けたそうです。その後、ほぼ一からやり直し、現在の状況まで立て直してこられたご苦労を伺いました。

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コーヒーの芽。

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熟すると赤くなります。

なお、海外では日陰(シェイドツリー)をつくって栽培するようですが、沖縄も日差しが強いため、日陰ネットの中で栽培しています。東村の高江地区は弱酸性土壌で寒暖差もあり、コーヒー畑に向いているとのことです。

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日陰ネットの中にコーヒーの木が植えられています。

最後にゼミのみんなでコーヒーゼリーやコーヒープリン、ホットドックなどを実食。真ん中の黒いサンドイッチはコーヒー豆を炭化させて粉にしたものを混ぜた生地の天然酵母パンをつかったもの。ソーセージもコーヒーを使ってボイルしているそうです。

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黒いホットドッグ!美味!

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コーヒーゼリーとコーヒープリンが両方楽しめる「ヒロ・プリンゼ」。

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コーヒープリン。

アイスコーヒーはあまり苦みもなく、飲みやすくてとても美味しくいただきました。

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コーヒーではなくココア。

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コーヒーの木の葉を使ったお茶。さわやかです。

ヒロ・コーヒーファームの足立さん、お忙しい中、丁寧に細かいところまで教えてくださりたいへんありがとうございました。

また機会があれば伺いたいなと思っています。

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担当:えのかわ
編集:O

沖縄の新しい農産物その1:カカオ

こんにちは。
沖縄大学専門演習小野ゼミです。
しばらくお休みしていましたが、またブログを再開します。
2019年度のテーマは沖縄における新しい農作物
特に、嗜好品など、付加価値の高い農作物についてアップしていく予定です。

第一弾は「カカオ」です!

*   *   *

カカオは南米原産の植物で、チョコレートやココアの原料として使われています。
世界で最も生産量が多いのはアフリカのコートジボワール。続いて2位がガーナ、3位がインドネシアとなっています。

私たちのゼミは、2019年7月に大宜味村でカカオ栽培に取り組んでいるローカルランドスケープの川合径さんの農場を訪ね、栽培の現状を見学させていただきました。

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緑の色濃い大宜味村田嘉里の風景。

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カカオ栽培に取り組んでいる川合径さん。

川合さんは東京から2016年3月に沖縄に移住、まだ苗木は成育中で実はなっていません。
沖縄は北緯26度で、カカオベルト(赤道を挟んで南北20度以内)の外にあるため、ハウスを使う必要があります。

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大宜見村田嘉里にある川合さんのカカオ栽培農場。

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中を見せてもらいます。

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ハウスの中。カカオの苗木がたくさん並んでいました。

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カカオのつぼみ!幹から直接咲くのに驚き!

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ランのような繊細な花。これがカカオの実になります。

花は咲いていますが、まだ実がなっていないので、現在はガーナ産のカカオを使って地域の食材を活かしたチョコレートを国頭村の工房でつくって販売しているとのことです。

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ローストされたカカオ豆。このまま食べても香ばしい味です。

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国頭村にある川合さんの工房&ショップの「オキナワカカオ ファクトリー&スタンド」で。

大宜味村のシークワーサー、沖縄で自生しているカラキと呼ばれるシナモン、月桃、地元のやんばる酒造の泡盛(まるた)を使用したチョコレートも。

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大宜味産の特産入り。

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オキナワカカオのチョコレートは薄くて舌の上でとろけるような感じ。繊細な味わいです。

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地元の酒造所、やんばる酒造の泡盛「マルキ」入りのチョコレートも!

日本でのカカオ栽培は賃金も高く、ハウス栽培となるため、コストが高くなってしまいます。そのため、スペシャリティコーヒーのように、産地限定のカカオとして価値の高いブランドに育てていく必要があると川合さんは考えています。カカオの味は7−8割、栽培地と品種と発酵で決まるそうです。現在、川合さんは「オキナワカカオ部」と称して栽培者を増やし、他の人たちと連携しながらカカオの生産地としてのノウハウを育てていくことを目指しています。

ハワイのチョコレートは高級品となっているそうですが、大宜味から始まった100%沖縄産のチョコレートも高級ブランドとして売られる日が来る・・ことを私たちも楽しみにしています!

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露地栽培の苗木の育成も試みているそうですが、冬の寒さが厳しいようです。

なお、川合さんがつくる大宜味の特産品が入ったチョコレートは、工房のある国頭村の「オキナワカカオ ファクトリー&スタンド」で購入することができます。58号線沿いのわかりやすい場所にあります。チョコレートドリンクや、チョコレートソースがけのジェラート、コーヒーもテイクアウトできます。

川合さんのチョコレートは空港のJTAショップを始め、中南部でも購入可能とのことです。ぜひ味わってみてください!

オキナワカカオホームページ:http://okinawacacao.com

担当:おくま、じゃはな
編集:O

サトウキビから作られる、沖縄のもうひとつの地酒。ラム酒。

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ラム酒というのはサトウキビから作られる蒸留酒のことです。

バカルディや、ロンリコなどが有名ですが、ここ沖縄にも地元のサトウキビを使って作られるラム酒が存在するのです。

国産初のラム酒です!!

沖縄の南大東島産のラム酒・コルコルです!

種類は赤と緑の二種類。

赤のコルコルは、糖蜜を使った一般的な製法のラム酒です。

コルコル赤ラベル2
糖蜜ラム酒のコルコル。720ml入りと300ml入りがあります。

糖蜜
これが糖蜜。製糖工場で砂糖(ざらめ)を精製する際、副産物として産出されるものだそうです。

緑のコルコルはサトウキビの絞り汁をそのまま薄めて造るアグリコール製法という方法で作られています!!!

コルコルアグリコール緑ラベル1
サトウキビ絞り汁ラム酒のコルコル・アグリコール。

アグリコール製法とは?

サトウキビは刈り取った瞬間から発酵が始まるため鮮度が落ちやすい作物です。この製法のためには、農家から直接工場へ搬入し、そのまま工場で絞らなくてはなりません。

そのため、この製法を使ったラム酒は生産量全体の3パーセントしかありません。サトウキビ収穫の時期以外は生産できないためです。

さて、味の方はどうかというと、赤の方は熟成させればさせるほど、味が変わってくるので、成長が面白い酒とのことです。お酒が強いという人や、酒じょーぐー(酒好き)の方におすすめです!

緑の方は、先ほど説明したアグリコール製法という特殊な製法により、すっきりとした飲み心地で、後にほんのりと甘みが感じられます。飲みやすく、味が安定している優等生。お酒が苦手という人も比較的飲みやすく、特に女性におすすめだそうです。

◎    ◎    ◎

さて紹介が遅れましたが、今回話を聞いたのは、グレイス・ラムの代表取締役、金城祐子さんです。

金城さんは沖縄大学の卒業生!大先輩です。

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沖大キャンパスにて。

金城さんは、もともと沖縄電力の関連会社で働いていたそうです。

お酒が好きなこともあり、友人のバーを応援するため通っていた時、偶然出会ったフランス人に勧められて、沖縄産のサトウキビを使ったラム酒のベンチャーを思いついたとか。

当初、沖縄電力のベンチャー企画として創業し、いろいろな検討をした結果、南大東島に行き着いたと言われていました。

最初は農家や製糖工場の人の理解を得るのに苦労されたようです。

会社名は「グレイス・ラム」。

立ち上げ当初は酒造免許を取ったり、税務署の条件を満たすのが難しく、困難が多かったとか。

今では、南大東島の皆さんともすごく仲良くさせてもらっている!とおっしゃっていました。

コルコルのラベルも南大東島の地図を使用しているほどです!

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ラベルが南大東島のかたちをしています。模様のように見えるのは地形です。

現在はヘリオス酒造の子会社になっています。

グレイス・ラムでは、25度のコルコルも売っているので(普通は40度)、お菓子作りなどをする方にはこちらもおすすめです!

コルコルはホワイト・ラムで、無添加・無着色。だから、色のきれいなお菓子やカクテルにも使えます。

(写真の奥に見えるのはラム酒を使ったケーキです。こちらにも詳しく紹介されています。黒糖入りのパウンドケーキチョコレートも。)

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25度のコルコルはお菓子づくりにオススメです。

わしたショップやドンキホーテ、那覇空港、最近できたライカム等で販売されています。

ぜひ皆さんも沖縄の天然の素材を活かしたコルコルを味わってみてください。

株式会社グレイス・ラム

住所:〒900-0036 沖縄県那覇市西2-20-17 大共港運(株)本社 1F

(本社・工場は南大東村字旧東39-1)

Tel:098-941-3610 Fax:098-941-3611

email:info@rum.co.jp

http://www.rum.co.jp

文、写真:赤嶺

マンゴーで泡盛も!豊見城産の泡盛。

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豊見城にある忠孝酒造。木造の蔵に注目!

沖縄で作られている泡盛は600年の歴史がある日本最古の蒸留酒。米焼酎で、日本の焼酎の元祖といわれています。他の焼酎とは原料や製造法が異なり、泡盛独特の風味や香りがあり、「熟成させる古酒文化がある」ことが特長だそうです。

今回は、那覇空港から車で10分の場所にある忠考酒造を紹介します。豊見城の居酒屋には必ず「よっかこうじ」とか「夢航海」など、忠孝酒造の泡盛が置かれており、地元の「シマー」(泡盛のこと)として親しまれています。豊見城育ちで小学校の社会見学として酒蔵見学に訪れた・・人は多いはず。

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「シー汁浸漬法」という昔の製法を復活させた泡盛づくりの他、豊見城の名産であるマンゴーの酵母を使って作られた泡盛もあります。

忠孝酒造の大城ひとみさんの話を聞きました。

「戦争の時には、地面に埋めていた壷が空襲で破損しました。また、アメリカの統治下にあった沖縄では泡盛の生産が制限されてしまったそうです。なので今、こうした状況で生産できることは、平和の象徴と言えるでしょう。」

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忠考酒造初代創業者、大城忠考さん。昭和24年に「豊見城酒造工場」を創業。養豚業や農業もやっていた。下の写真では当時の雰囲気がわかる。

忠孝酒造は、現会長・大城繁さん(2代目)が泡盛業界初の試みとして古酒甕製作に取り組んだ事業で知られています。

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忠考酒造2代目(現会長)大城繁さん。自ら陶芸を学び、甕の製作を始めた。

土作り、成形、焼成のすべてにこだわり、一から作り上げた「忠孝南蛮荒焼甕」。それがこちらです。ドン!

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そもそも、南蛮荒焼とは何か? 南蛮荒焼は15〜16世紀に東南アジアから伝来した南蛮甕がもとであり、釉薬という薬品を使わずに焼き締められた焼き物のことです。 忠孝南蛮荒焼甕は、機械による大量生産ではなく、職人たちにより、自社の窯で、ひとつひとつ手作りで造られています。

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忠孝南蛮荒焼甕に使用されている土は、本島南部の「島尻ジャーガル」と主に山原で取れる「琉球赤土」をブレンドしているとのことです。鉄分が多く、密度が高いため、軽く叩いてみると、金属製の容器を叩いたような音が響きます。そのため、古酒を漏らす事なく貯蔵することができるそうです。

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琉球赤土。鉄分が多い。

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島尻ジャーガルの塊。灰色で粘土質。

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忠孝南蛮荒焼甕の密度を音で表現する見本。

甕を焼く際に、直火が当たった所にできる色変わりのことを「窯変」といいます。焼くときの、窯・薪・甕の状態などで、様々な模様ができ、同じ模様は二つとありません。

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忠孝南蛮荒焼甕を焼くと、左端から右端まで、こんなに縮む!

忠孝酒造では忠孝蔵・古酒お預かりシステム「THE OWNERS」があり、地下の古酒蔵で古酒として保管してくれるサービスがあります。記念日やお祝い事の記念にという方が多いそうです。申し込み日から5年間、最大20年間の延長ができるとのことです。

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THE OWNERSの地下貯蔵庫 。

以上、くぅーすの杜 忠孝蔵を紹介しました。

くぅーすの杜 忠孝蔵

住所:901-0232 沖縄県豊見城市字伊良波556-2

(豊見城・名嘉地ICから80m。バス利用の場合、ゆいレール赤嶺駅から89番糸満線に乗り、我那覇バス停から徒歩3分)

電話番号:098-851-8813

駐車場:収容台数50台(無料)

営業時間:AM9:00〜PM18:00

定休日:年中無休

http://www.chuko-awamori.com

文、写真:野口

「沖縄の業界地図」!

今年5月4日に発売された「沖縄の業界地図」(880円税別、沖縄大学Bizplus)。

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中小企業が多い沖縄の業界や企業間の関係を一望できるすごい本です。オールカラーのA4版、118ページ!

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企画+製作+編集+発行は、沖縄大学法経学科の大城淳先生・豊川明佳先生と、2014年度ゼミ生の皆さん(2年生と3年生)。

普通、沖縄県産本は1000部売れれば良い方とのことですが、この本は最初から強気の2000部発行!

ふたを開けてみたら「県産本ベストセラー3週連続!」(ジュンク堂那覇店、5月23日調べ)。

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ちなみに4週連続にならなかったのは、在庫がなくなってしまったからです。

四季報など、全国版の「業界地図」はありますが、これまで沖縄経済をこのように考察した資料はありませんでした。6月以降、入手困難・・・貴重な資料です!

そこで、小野ゼミでは、6月12日、大城先生、豊川先生とゼミ生の皆さんにインタビューをさせていただきました!

注1:作成したのは昨年度のゼミのみなさんですが、今年もゼミを継続して製作に取り組んでいる学生の皆さんが多数

注2:豊川先生には先日「きん田」の記事にも登場していただきました

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–「沖縄の業界地図」をつくる、教育的な目的、狙いは何だったのでしょうか?

大城先生:経済で使える人を育てたいからです。新しいアイデアを提案し、それをかたちにするのは難しいことですが、そのしんどさを学生時代に経験してほしいと考えました。

豊川先生:すべての商品は誰かの手を経てかたちになっています。「新しい商品を作る」過程を通して、モノがかたちになって価値を生み出すところを就職前に体験しておくことが重要だからです。

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— 作業はどんなふうに進めたのですか?

学生:約70人の学生が希望する分野ごとにグループに分かれて調査を開始しました。最終的には「ものづくり」「交通」「医療・人材」「金融・インフラ」「観光」「卸売・小売」などの分野に分かれました。

学生:グループ内で役割を分担し、ホームページを見たり、新聞を調べたり、県の事業に参加している企業を探したりして各企業の情報を集めました。

学生:直接アポを取って話を伺ったり、パンフレットや資料をもらったり。

学生:ゼミのFacebookを立ち上げて、関連する新聞記事を投稿したりして、ゼミ生同士で情報交換をしました。

学生:調べた内容はグループ内でパワーポイントにまとめ、定期的に発表しました。マニアックすぎる情報はカット!全体を概観できる情報やキーとなる情報が必要であることを、先生には厳しく指摘されました。おもしろい情報はコラムなどで活かすことにしました。

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– 苦労したことは?

学生:情報が全くない企業があったり、アポを取ろうとしたら就活と思われたり。

学生:グループで話し合うスケジュール調整が大変でした。

大城先生:学生が調べてきた情報が正しいか、確認する作業が大変でした。3キロ痩せました。

注3:大城先生、もともと細身なのに・・

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ふだんは見えない「飼料」の世界!

– やってみてわかったことは何ですか?

学生:様々な業界について知り、この業界は熱い!とかこれから伸びる!とか、実感できました。

学生:消費者からは見えない企業同士の関係がわかりました。

学生:これまで関心のなかった分野にも興味を持つようになりました。

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– なぜ売れたと思いますか?

豊川先生:マーケティング(プライス、プレイス、プロモーション、プロダクトのミックス)をしっかり考えたからです。売る場所を最初から想定し、そこから逆に形を考え、表紙、文字、色、紙の質感などにもこだわりました。若手のビジネスマンが買うと思っていたら、県外企業の支店の人たちがたくさん買ってくれたというのもおもしろかったです。

大城先生:買い手が知りたがっていた情報だったから。商品の力があったということでしょう。

– 反響は?

豊川先生:琉球新報、沖縄タイムスの両紙に取り上げていただきました。特に経済面で大きく取り上げていただいたのは、ラッキーでした。

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- 今年はどんな内容を?

学生:バージョンアップを図ります。去年カバーできなかった業界も調べ、新しい情報を提供していきたいです。

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以下、インタビューをした小野ゼミの学生の感想です。

・ 自分たちの知らないBtoB企業のことが知ることができて良かったです。勉強になりました。

・ バイト先の提携企業がわかりました!

・ アポを取ってインタビューをしたり、他にはない情報を調べてまとめることが社会に出ていく上で必要なスキルだと感じました。

・ 3キロ痩せたという、大城先生のすごい苦労が感じられました。

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髪を短くして涼しげになった大城先生。

大城先生、豊川先生、ゼミのみなさん、インタビューへのご協力ありがとうございました!

文:もっちゃん、トラ、O