沖縄の新しい農産物その5: ウコン

ウコンは、熱帯、亜熱帯を中心にアジア、アフリカ、中南米と世界中に分布しているショウガ科の多年草です。ショウガやニョウガなどの仲間で美しい花を咲かせます。国内では主に沖縄、種子島、石垣、屋久島、奄美大島、鹿児島などで栽培されています。じつは沖縄は、日本最大のウコン栽培地です。

ウコンの英名は「ターメリック」と呼ばれ、中世のラテン語を語源とし、「土地の恵み」という意味とのことです。現在では、粉末やお茶などで商品化が進み、手軽に入手できるようになっています。注1)

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【ウコンの歴史】

ウコンの歴史は、インドから始まったとされ、カレーの材料として知られています。カレーの黄色い色はターメリック、つまりウコンの色です。

インドは紀元前からアーリア族という遊牧民族が、ウコンが太陽の色をしている事から豊作を祈る神聖な儀式に利用されてきました。

日本では、卑弥呼の時代から存在したと言われています。古くから染め物として使われ、殺菌・防虫効果があるとされており、卑弥呼が中国の王にウコンを献上したという記録があるそうです。沖縄では「うっちん」と呼ばれ、琉球王朝時代に珍重され、厳しい管理のもと専売制度が敷かれたほどでした。注2)

【ウコンの成分】

ウコンの成分でよく知られているのがクルクミンです。クルクミンは、ウコンの色素成分でポリフェノールの一種に分類されています。肝機能を強化し、胆汁の分泌を促進させる作用がある他、ミネラルが豊富で美容効果やダイエットにも向いているとか。

よく知られているのは、二日酔い予防などの効果です。注3)

【ウコンの生産状況】

ウコンの世界の生産量は約110万トンでした(2005-2006年)。原産地であるインドが生産・輸出量ともに世界一で、世界の生産量の8割を占めています。中国、ミャンマー、ナイジェリア、バングラディシュが続きます。タイやインドネシアでも栽培されています。注4)

【沖縄長生薬草本社】

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沖縄のウコン栽培、ウコン製品でもっとも知られているのは、沖縄長生薬草本社です。私たちは2019年7月に同社を訪問させていただきました。注5)

沖縄長生薬草本社は、45年前に創立されました。元々薬草が好きだった社長が立ち上げた会社で、現在1000種類の薬草と150種類の薬草を生産しており、サプリメントや薬草茶を作っています。

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沖縄長生薬草本社のウコンの生産量は日本一。その中に沖縄皇金ウコン(秋ウコン)という、同社が品種改良によって開発した新品種のウコンがあります。

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他にも春ウコンや紫ウコンが栽培されています。

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南城市にある広々とした同社の農園の8、9割はウコンで、契約農家にも栽培してもらっているそうです。ウコンの栽培は比較的容易で、農薬不要、虫がつかず、病気も基本なく、ビニールハウスが不要で露地栽培可能とのことです。しかし、水は比較的多く必要とのことでした。

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現在、栽培が需要に追いついていないそうです。ウコンの収入は高いのですが、基幹作物のような補償制度がないため、なかなか農家が栽培に動いてくれないということが背景にあるようです。

(その他の薬草類)

2014年からは栽培されている黒ニンジンは、世界的にも希少品種とのことです。日本国内では沖縄や九州の一部地域でのみ栽培されており、トルコでは健康増進、栄養補給のため愛飲されているそうです。沖縄長生薬草本社では実際に直接トルコ内陸部での栽培法を学び、沖縄の自社農園で栽培しています。

沖縄長生薬草本社のもうひとつの人気商品は、ノニです。ノニは八重山青木と呼ばれ、主にノニを発酵させ絞ったノニジュースとして飲まれています。ノニは宮古島の農場でノニを栽培されています。

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沖縄長生薬草本社はこの他にも多くの薬草類を自社や契約農家で栽培、加工販売しています。

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グアバ。薬草茶として人気。
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ヒハツ(ピパーチ)。香辛料として使われる。
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沖縄長生薬草本社の農園。

【まとめ】

ウコンは栄養価の高い食品であり、健康食品としても注目されています。聞き取りにより、価格が高く、市場の需要も伸びており、沖縄における付加価値の高い農産物として重要な商品であることがわかりました。沖縄長生薬草本社の皆さん、ありがとうございました。これからの沖縄の可能性を広げるウコンに今後も注目していきたいと思います。

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沖縄長生薬草本社のショップ。さまざまな薬草茶やウコン製品を購入できる。

 

担当:よなみね

編集:O
注1:[https://www.okinawajoho.jp/ukon/0_ukon.html]

注2: [https://www.okinawajoho.jp/ukon/0_ukon.html], [https://turmeric-guide.net/archives/18], [http://www.kappou-ichi.com/02.html]

注3:[ http://www.kappou-ichi.com/003.html]

注4:[https://voxspice.jp/spicestory/904][http://agritech.tnau.ac.in/banking/PDF/Tumeric.pdf]

注5:沖縄長生薬草本社:http://okinawa.cho-sei.co.jp/farm-factory/farm/

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