沖縄の「ぜんざい」は、かき氷の下に甘く煮た金時豆が入っているというもので、他県のぜんざいとは別物である。高校の隣にパーラーがあって、ラグビー部の練習の帰りによく友達とたむろして、僕はミルクぜんざいを食べていた。
今回、僕が訪れたのは、沖縄ぜんざいの「千日」。千日は創業六十年、いわば沖縄ぜんざいの老舗である。
ぜんざいを口にいれた瞬間に広がるふわふわの氷と甘い金時がおりなす美味しさ。ここ千日のぜんざいの味は、県内外や世代問わずみんなから愛され続ける味だ。
ミルク金時450円。
いちごミルク氷450円。いちごミルク金時500円。
「千日のお客さんの中には、親子三代にわたってくれるお客さんもいるんですよー」
こう笑顔で話してくれたのは先代・金城新五郎の三女、小坂れい子さんだ。
創業者の新五郎さんは、とても研究熱心な方で、長年変わることなくみんなから愛されているぜんざいのレシピを考えた。
そんな新五郎さんの熱意が分かるエピソードも聞くことができた。新五郎さんは、沖縄で最初にたい焼きを売り出した方でもあった。あの「泳げたい焼き君」の歌が発売されて大ヒットする40日前に販売を開始した。たい焼きはお客さんに整理券を配るほど、売れに売れたという。
そして、そんな先代の作ったレシピだからこそ、創業当時の味を変えることなく受け継がれているのではないかと思う。
「ここを一度訪れた人は、何十年たっても変わらない味を食べることができる」
と小坂さんは話してくれた。
千日のぜんざいの特徴は、固めの氷と常に刃を研ぐことで生まれるふわふわの氷。氷の下にある甘い金時との絶妙なバランスが、最高に美味しい。
この機械で削る。
刃がよく手入れされていてふわふわの氷に。
最後にコンデンスミルクをかけて。
この高さ!
千日は、お店の内装もシンプルでとても落ち着く雰囲気になっている。僕が気になったのは、クーラーではなくあえて扇風機を使用しているところだった。
理由を小坂さんに聞いてみた。
「クーラーにしていると、新しく入ってくるお客さんはいいかもしれないけど、ぜんざいを食べていくと逆に体が冷えすぎてしまう」
と教えてくれた。
こんなところも長年お客さんに愛されている理由の一つなのかもしれない。
この夏は、千日の美味しいぜんざいを食べながら、暑い夏を涼しく快適に過ごそう!
千日
住所:沖縄県那覇市久米1-7-14
電話:098-868-5387
営業時間:11:30~19:00(夏期は20:00まで)
定休日:月曜日
取材、文:シーサー星人