沖縄を代表する伝統野菜はゴーヤー・・よりも、田芋(ターウム)だと思います。お盆や清明祭などの伝統行事では必ず食べます。代表的な料理は、お正月によく出てくる田楽(りんがく、とも言います)でしょうか。ねっとりと練られてほんのり甘いきんとんのような料理です。県内では金武町が田芋の産地として有名です。
さて、今回紹介するのは、この金武町特産の田芋を使ったスイーツ専門店、「きん田」の新都心店です。
一番人気は、濃厚なチーズと素朴な味の田芋をあわせた田芋チーズケーキ(ホール2,160円・ハーフ 1,080円・1ピース300円)。チーズと田芋が二つの層になり、繊細な田芋の味が生かされています。多い時には1日に100個売れる人気商品とのことです。
二番人気は、きれいな切り込みの入ったタルトのような田芋パイ(ホール 1,940円、ハーフ970円・1ピース280円)。田芋パイというと、田芋の餡を生地で餃子のように包んで揚げた一口サイズのものが一般的ですが、「きん田」のパイは、ホールがおしゃれで豪華な雰囲気です。サクサクした上の生地とねっとりとした田芋のフィリングがぴったりです。
田芋の田楽を餡にしてまんじゅうの皮で包んだ田芋まんじゅう(白・赤各 170円)もおみやげなどに人気の商品です。
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この「きん田」を経営されているのは、実は沖縄大学法経学科の豊川明佳先生とそのご家族です。豊川先生にお話を伺いました。
「弟がシェフをつとめる田芋カフェレストラン『長楽』は2004年に金武町で開業しました。そのレストランのおみやげとして田芋のスイーツを作り始めました。そのうち、レストランのキッチンでは間に合わなくなり、金武町のメインストリートに工房を開き、小さな販売スペースも設けたのが『きん田』の始まりです」
「沖縄の人はどこかに出かけるとおみやげをたくさん買って配ります。見るだけの場所なら一度しか来てくれませんが、食べることなら何度も来てくれる。スイーツは好調で、もう1店舗つくろう、と考えた時に、空港でも国際通りでもなく、地元向けに那覇新都心に出店することにしました。」
「田芋って県外の人にはあまり知られていない。だけど、沖縄の食文化には深く根付いているから、地元の人がたくさん買ってくれるんです。芋を使うから作業もたいへんですが、直営店なので価格を抑えて出しています。」
豊川先生のお母さんの豊川あさみさんは、実は県内では有名なアントレプレナー(起業家)。親戚である金武酒造の泡盛「龍」を鍾乳洞で貯蔵して古酒にするアイデアで一躍知られるようになりました。
同じ鍾乳洞で1年以上熟成させた豆腐ようも数量限定の人気商品です(先日、藤原紀香さんがこれを使ったパスタをつくった写真をフェイスブックで「めちゃめちゃ美味しい」と紹介していました)。
現在、豊川先生たちはスイーツだけでなく、豆腐ようをつかった新しい調味料「豆腐ようモダン」を開発中で、秋の発売を目指しているそうです。豆腐ようのパスタ!もびっくりですが、野菜や肉料理など、いろいろなレシピを考案中とのことでした。
新都心の「きん田」では、併設店の「龍の蔵」で、鍾乳洞熟成の古酒の量り売りや日本初の田芋焼酎「金の誉」を買うことができます。
また、龍茶(お茶)や黒長寿(もろみ酢)、しょうがシロップなども並んでいます。スイーツを含め、直営店でしか買えない商品がいろいろ。
お祝い事やおみやげに、地元ならではのオリジナル商品、いかがでしょう。
田芋工房 きん田 那覇新都心店
住所:沖縄県那覇市天久1-28-31
営業時間:10時30分〜19時30分
電話番号:098-963-9477
定休日:なし
文、写真:金城、O