沖縄県産アボカドについて調べてみた!

アボカドは、おいしく健康にもいいと注目され、国内需要は右肩上がりです。
近年では、「国産アボカド」も生産されるようになってきました。沖縄でも熱帯果樹の産地として、アボカドの生産に取り組む人が少しずつ出てきています。
私たちのグループでは、アボカドの基本的な情報や生態について調べ、県内で実際に栽培されている農園でお話を伺ってきました。
   


アボカドとは

Photo by Valeria Burdyka on Pexels.com


アボカドは、中央アメリカが原産のクスノキ科・ワニナシ属の樹木で、主に熱帯・亜熱帯で生育します。
野菜的果実と呼ばれ、果物でありながら野菜のように食べられています。
アボカドはギネスブックにも、世界一の栄養価の高い果物として認定されています。
アボカドは中米からメキシコ系、グアテマラ系、西インド諸島系の3つの系統に分けられます。
(参考:https://okinawan-avocado.com/2019/12/30/avocado_variety/)
 
●メキシコ系 
メキシコ―ラやメキシコ―ラグランデなどのメキシコ系の寒さに強い品種です。果実の大きさは100g前後と小ぶり。果皮の色は黒紫色、果肉の色は淡い黄色です。


●グアテマラ系
ハスやリード、ニムリオなどはグアテマラ系のアボカドです。果実の大きさは様々で、大きいものだと500gほどになります。ハスと呼ばれる品種が、私たちがスーパーなどでよく見かける小ぶりなアボカドです。果皮の皮はごつごつしており、果肉の色は黄白色です。


●西インド諸島系
西インド諸島系のアボカドは寒さに弱い品種です。カビラムラサキやカビラキイロなど、沖縄県の石垣島生まれの品種もあります。
果実の大きさは500g前後から1kgを超えるものもあります。果皮の色は緑色や赤みを帯びた緑色、果肉の色は黄色です。


   
世界での生産状況


019年の世界でのアボカドの生産量を見ると、メキシコが32%、ドミニカ共和国が9.2%、ペルー7.5%、コロンビアが7.5%と原産地に近い中南米地方の生産量が多いです。インドネシアが6.4%で5位にランクインしていることから、アジアでもアボカドの生産が行われていることがわかります。
(参考:https://urahyoji.com/crops-avocado-w/)
  
日本での生産状況


日本での2018年のアボカドの生産量は和歌山県が76.8%、愛媛県が15.8%、鹿児島県が7.4%と、この3県で国内生産量のほとんどを占めています。
(参考:https://urahyoji.com/crops-avocado/)
和歌山県や愛媛県は、ミカンの栽培がとても盛んですが、アボカドは手間暇がかからない果実であること、傾斜地での生産に適していることから、近年ミカン栽培から転換している農園があるとのことです(糸満フルーツ園けんちゃん、上原さん談)。
アボカドの国内生産量は増えているとはいえ、年間千トンが輸入されているのに対し、国産アボカドは10トン程しか出荷されていません。
        

*******


実際に、沖縄でアボカドを栽培されている「糸満フルーツ園けんちゃん」を現地訪問させていただき、上原賢祐さんにお話を伺いました。

アボカドの木の前で説明してくださっている上原賢祐さん。熱帯果樹系youtuberです!

上原さんは沖縄県生まれで父親の賢俊さんと共に、アボカドをはじめとする様々な熱帯果樹を栽培されています。賢祐さんは山口大学大学院に在籍されていますが、2019年に休学して沖縄に戻り、熱帯果樹の栽培を始めたそうです。現在はアボカドをはじめとする熱帯果樹や野菜の栽培、農家の日常などの情報をyoutubeで発信されています。Youtubeチャンネルの登録者数はなんと1万5千人超!アボカド栽培のノウハウ、県内外の生産者との交流や、海外の論文の情報などもわかりやすく伝える人気チャンネルとなっています。

こちらが「けんゆーの無農薬栽培チャンネル!」。チャンネル登録者は1万5千人超です!

伺ったのは2021年10月。

上原さんの農園では、現在120本のアボカドの木を栽培しており、年間300〜500個のアボカドを収穫しているそうです。その他にもバナナやアテモヤ等の熱帯果樹も栽培されています。無農薬無化学肥料の栽培で、肥料には枯葉や虫の死骸、動物の糞など、自然のものを利用。地下水脈があるため、灌水は降水のみで、水やりもしていないとのことでした。

すでに収穫は終わっていましたが、少し残っていたものを見せていただきました。

アボカドには袋がかけられているのではずして見せてもらいます。
ピンカートンという種類のアボカド。

アボカドを種から育てて実をつけさせるには10年ほどかかることもあり、時間がかかるため、上原さんはすでに実をつけたことのある木を穂木として、接ぎ木を行う手法をyoutube で詳しく紹介されています。家庭菜園でも活用できるとのことです。

継ぎ木のやり方を実際に見せていただきました。

ひとつの台木に実験的にさまざまな種類の穂木を接ぎ木している様子です。

詳しくはこちらをどうぞ!

         

アボカドの木の高さは、10m程度のものから20〜30mまで伸びるものもあります。

一度も剪定したことがないアボカドの木。

沖縄県内でのアボカド栽培はまだ少なく、本格的な経済栽培は限られているとのことです。
糸満市のほか、東村や石垣島などにアボカドを栽培されている農園があります。
アボカドは単価の高い果実であり、沖縄の気候風土にも合うため、今後新たな県産熱帯果実として伸びていく可能性があります。
アボカドがたわわになる風景。地元で採れたアボカドが食べられる地域、、、って魅力的ですよね!
沖縄の地域としての魅力を上げていく農産物のひとつとして、県産アボカドの今後に注目していきたいと思います!


上原さん、ありがとうございました!

賢祐さんの左はお父さんの賢俊さん。お二人にお話しを伺うことができ、たいへん勉強になりました!

文責:比嘉、黒澤
編集:O

沖縄の新しい農産物その5: ウコン

ウコンは、熱帯、亜熱帯を中心にアジア、アフリカ、中南米と世界中に分布しているショウガ科の多年草です。ショウガやニョウガなどの仲間で美しい花を咲かせます。国内では主に沖縄、種子島、石垣、屋久島、奄美大島、鹿児島などで栽培されています。じつは沖縄は、日本最大のウコン栽培地です。

ウコンの英名は「ターメリック」と呼ばれ、中世のラテン語を語源とし、「土地の恵み」という意味とのことです。現在では、粉末やお茶などで商品化が進み、手軽に入手できるようになっています。注1)

IMG_0253.jpg

【ウコンの歴史】

ウコンの歴史は、インドから始まったとされ、カレーの材料として知られています。カレーの黄色い色はターメリック、つまりウコンの色です。

インドは紀元前からアーリア族という遊牧民族が、ウコンが太陽の色をしている事から豊作を祈る神聖な儀式に利用されてきました。

日本では、卑弥呼の時代から存在したと言われています。古くから染め物として使われ、殺菌・防虫効果があるとされており、卑弥呼が中国の王にウコンを献上したという記録があるそうです。沖縄では「うっちん」と呼ばれ、琉球王朝時代に珍重され、厳しい管理のもと専売制度が敷かれたほどでした。注2)

【ウコンの成分】

ウコンの成分でよく知られているのがクルクミンです。クルクミンは、ウコンの色素成分でポリフェノールの一種に分類されています。肝機能を強化し、胆汁の分泌を促進させる作用がある他、ミネラルが豊富で美容効果やダイエットにも向いているとか。

よく知られているのは、二日酔い予防などの効果です。注3)

【ウコンの生産状況】

ウコンの世界の生産量は約110万トンでした(2005-2006年)。原産地であるインドが生産・輸出量ともに世界一で、世界の生産量の8割を占めています。中国、ミャンマー、ナイジェリア、バングラディシュが続きます。タイやインドネシアでも栽培されています。注4)

【沖縄長生薬草本社】

P1000359

沖縄のウコン栽培、ウコン製品でもっとも知られているのは、沖縄長生薬草本社です。私たちは2019年7月に同社を訪問させていただきました。注5)

沖縄長生薬草本社は、45年前に創立されました。元々薬草が好きだった社長が立ち上げた会社で、現在1000種類の薬草と150種類の薬草を生産しており、サプリメントや薬草茶を作っています。

IMG_0260

沖縄長生薬草本社のウコンの生産量は日本一。その中に沖縄皇金ウコン(秋ウコン)という、同社が品種改良によって開発した新品種のウコンがあります。

P1000378.jpg

他にも春ウコンや紫ウコンが栽培されています。

P1000381

南城市にある広々とした同社の農園の8、9割はウコンで、契約農家にも栽培してもらっているそうです。ウコンの栽培は比較的容易で、農薬不要、虫がつかず、病気も基本なく、ビニールハウスが不要で露地栽培可能とのことです。しかし、水は比較的多く必要とのことでした。

P1000382-1

現在、栽培が需要に追いついていないそうです。ウコンの収入は高いのですが、基幹作物のような補償制度がないため、なかなか農家が栽培に動いてくれないということが背景にあるようです。

(その他の薬草類)

2014年からは栽培されている黒ニンジンは、世界的にも希少品種とのことです。日本国内では沖縄や九州の一部地域でのみ栽培されており、トルコでは健康増進、栄養補給のため愛飲されているそうです。沖縄長生薬草本社では実際に直接トルコ内陸部での栽培法を学び、沖縄の自社農園で栽培しています。

沖縄長生薬草本社のもうひとつの人気商品は、ノニです。ノニは八重山青木と呼ばれ、主にノニを発酵させ絞ったノニジュースとして飲まれています。ノニは宮古島の農場でノニを栽培されています。

P1000365

沖縄長生薬草本社はこの他にも多くの薬草類を自社や契約農家で栽培、加工販売しています。

P1000373
グアバ。薬草茶として人気。

P1000377
ヒハツ(ピパーチ)。香辛料として使われる。

P1000360
沖縄長生薬草本社の農園。

【まとめ】

ウコンは栄養価の高い食品であり、健康食品としても注目されています。聞き取りにより、価格が高く、市場の需要も伸びており、沖縄における付加価値の高い農産物として重要な商品であることがわかりました。沖縄長生薬草本社の皆さん、ありがとうございました。これからの沖縄の可能性を広げるウコンに今後も注目していきたいと思います。

P1000391.jpg
沖縄長生薬草本社のショップ。さまざまな薬草茶やウコン製品を購入できる。

 

担当:よなみね

編集:O
注1:[https://www.okinawajoho.jp/ukon/0_ukon.html]

注2: [https://www.okinawajoho.jp/ukon/0_ukon.html], [https://turmeric-guide.net/archives/18], [http://www.kappou-ichi.com/02.html]

注3:[ http://www.kappou-ichi.com/003.html]

注4:[https://voxspice.jp/spicestory/904][http://agritech.tnau.ac.in/banking/PDF/Tumeric.pdf]

注5:沖縄長生薬草本社:http://okinawa.cho-sei.co.jp/farm-factory/farm/

沖縄の新しい農作物その3: バニラ

バニラビーンズとは、ラン科バニラ属の蔓植物の実で、これを原料として抽出されるのが甘い香りのバニラと呼ばれる香料です。

P1000344.jpg
バニラのさや(バニラビーンズ)。バニラはラン科の植物です。

バニラの原産地は中央アメリカで、16世紀にスペイン人の征服者エルナン・コルテスがヨーロッパに伝えたと言われています。19世紀まではメキシコがバニラ取引を独占していましたが、19世紀の半ばにフランス領のレユニオン島で人の手で授粉させる技術が完成し、メキシコ以外の土地でも、バニラの商業栽培が行われるようになりました。

現在、世界の市場に出回るバニラのうち約8割はインド洋に浮かぶ島マダガスカルで生産されています。アジアでは、インドネシアが主要な栽培地として知られています。

バニラビーンズの価格はここ数年高騰していて、2019年の価格は1キロ520ドル(6万円弱)。マダガスカル産のバニラは質が高いことで有名ですが、国内の菓子材料の通販では、50グラムで1万円を超える価格で販売されています。とても高価なため、関心も高まっています。

バニラビーンズは、樹上で数ヶ月完熟させた後、キュアリングと呼ばれる加工によって、さやの発酵、乾燥を促し、水分を飛ばしてバニラ独特の香りが出るようにします。キュアリングの過程には産地ならではの技術的ノウハウがあるようです。

さて、日本国内でのバニラの状況ですが、九州の久留米バニラが有名です。この久留米バニラの原料として、沖縄の農場からもバニラビーンズのさやが出荷されています。

さて、沖縄でも本格的にバニラの栽培から加工、製品化に取り組んでいる人たちがいます。

私たちは、2019年7月、読谷村座喜味にある「蘭ファーム・ナガハマ」の長浜真俊さんのバニラ農場を訪問させていただき、お話を伺いました。

P1000324.jpg
蘭ファーム・ナガハマの長浜さん。

長浜さんは本業とは別に、趣味で蘭を栽培していたそうです。バニラの栽培を始めたきかっけは、糸満の蘭協会からバニラの苗をもらったこと。

2015年に読谷村のハウスで本格的な栽培を始め、現在では814本のバニラを栽培しています。

P1000356.jpg
アーチ型の構造の中にバニラのつるが整然と並んでいます。

実がついたのは去年から。今年の2月には1万本を収穫することができました。
樹上で完熟させたバニラビーンズを収穫後、数ヶ月かけて発酵、乾燥させるキュアリングを行っています。

P1000347.jpg
美しくつやのあるバニラのさや。

訪問した時期には1カ月ごとにバニラがどのように変化するのか、琉球大学の研究者の協力を得て分析を行っているとのことでした。

P1000326.jpg
キュアリングの実験中のバニラビーンズ。

バニラはハウスの中で栽培する限り、消毒もいらず、それほど手間はかからないそうです。

P1000336.jpg
整然と栽培されているバニラ。

一番忙しいのは5月のゴールデンウィーク明けの1ヶ月。バニラの花が開花する時期で、花が午前中に一斉に開花し、午後にはしぼんでしまうため、急いで受粉させる作業を行わなくてはなりません。1ヶ月間、ほぼ休みなしで受粉の作業に取り組むそうです。

P1000352.jpg
香りをかいでみているところ。

「来年はぜひ手伝いに来てね!」と言われました。

バニラビーンズの熟成については試行錯誤中で、まだまだということですが、バニラが沖縄の名産になるようにがんばりたいとのことでした。

P1000328.jpg
とびきり甘い香りのバニラビーンズになりますよう・・たのしみです。

甘い香りの沖縄産バニラのアイスクリームやプリンを楽しみにしています!
長浜さん、ありがとうございました。

担当:まきの
編集:O

沖縄の新しい農産物その2:コーヒー

コーヒーはアカネ科のコフィア属に属する熱帯植物で、主に赤道をはさむ南北約25度のコーヒーベルトと呼ばれる地帯で栽培されています。

日本では小笠原、沖縄がコーヒーを栽培するのに適していると言われています。
最近では、元サッカー日本代表の高原直泰さんがネスレ日本と手を組んで、名護市の耕作放棄地にコーヒーを植える「沖縄コーヒープロジェクト」が話題になりました(2019年4月19日、朝日新聞)。

IMG_2452
コーヒーの実。

沖縄のコーヒーは、厳密に言うと「新しい」わけではありません。
最初に栽培されたのは大正時代です。大正13(1924)年に桃原農園を創設した尚順氏が北部で栽培した植物の中にコーヒーの木があったそうで、100年近く前になります。
第二次大戦後も何人か栽培している人がいたそうですが、沖縄コーヒーの先駆者と言われているのは和宇慶朝伝氏(明治39年生まれで104才で亡くなられた)で、うるま市の兼箇段でアラビカ種の「ニューワールド」というブラジル産のコーヒーの苗木を1960年代より栽培して広めてこられました。

IMG_2411.jpg

私たちも実際にコーヒーが栽培されている現場を見たいと思い、沖縄県国頭郡東村にある「ヒロ・コーヒーファーム」を7月に訪問させていただきました。

ヒロ・コーヒーファームは1993年設立のコーヒー農園とカフェで、今年で26年目になるそうです。現在、2代目の足立朋子さんが経営しておられ、お話を伺うことができました。

IMG_0791-1.jpg

初代は朋子さんの父である足立浩志さんです。浩志さんは大阪出身で、若い時にハワイのコナでコーヒー栽培をしている親戚の手伝いをした経験から自らもコーヒー栽培を目指したそうです。

IMG_2419.jpg

沖縄に移住し、当初はタクシーの運転手をやりながら、少しずつコーヒーの苗木を育てていきました。苗木は前述の和宇慶さんから分けてもらった「ニューワールド」です。浩志さんが栽培し、収穫した豆を家族で加工焙煎、朋子さんは販売とカフェというように仕事を分担して経営されていました。

DSC02367.jpg
ヒロコーヒーファーム。

コーヒの木は、収穫できるまでに最低でも3年かかるそうです。12月〜5月に収穫ですが、沖縄は台風の通り道となっていることがネックになっています。ヒロコーヒーファームでも。元々1200坪の土地で育てていたとのことですが、7年前の大型台風によって大きな被害を受け、コーヒーの木もお店も壊滅的な被害を受けたそうです。その後、ほぼ一からやり直し、現在の状況まで立て直してこられたご苦労を伺いました。

DSC02403.jpg
コーヒーの芽。

DSC02404.jpg
熟すると赤くなります。

なお、海外では日陰(シェイドツリー)をつくって栽培するようですが、沖縄も日差しが強いため、日陰ネットの中で栽培しています。東村の高江地区は弱酸性土壌で寒暖差もあり、コーヒー畑に向いているとのことです。

DSC02355.jpg
日陰ネットの中にコーヒーの木が植えられています。

最後にゼミのみんなでコーヒーゼリーやコーヒープリン、ホットドックなどを実食。真ん中の黒いサンドイッチはコーヒー豆を炭化させて粉にしたものを混ぜた生地の天然酵母パンをつかったもの。ソーセージもコーヒーを使ってボイルしているそうです。

IMG_2450.jpg
黒いホットドッグ!美味!

DSC02392.jpg
コーヒーゼリーとコーヒープリンが両方楽しめる「ヒロ・プリンゼ」。

コーヒープリン.jpg
コーヒープリン。

アイスコーヒーはあまり苦みもなく、飲みやすくてとても美味しくいただきました。

IMG_0803-1.jpg

IMG_0805.jpg
コーヒーではなくココア。

IMG_0122.jpg
コーヒーの木の葉を使ったお茶。さわやかです。

ヒロ・コーヒーファームの足立さん、お忙しい中、丁寧に細かいところまで教えてくださりたいへんありがとうございました。

また機会があれば伺いたいなと思っています。

DSC02399.jpg

担当:えのかわ
編集:O

沖縄の新しい農産物その1:カカオ

こんにちは。
沖縄大学専門演習小野ゼミです。
しばらくお休みしていましたが、またブログを再開します。
2019年度のテーマは沖縄における新しい農作物
特に、嗜好品など、付加価値の高い農作物についてアップしていく予定です。

第一弾は「カカオ」です!

*   *   *

カカオは南米原産の植物で、チョコレートやココアの原料として使われています。
世界で最も生産量が多いのはアフリカのコートジボワール。続いて2位がガーナ、3位がインドネシアとなっています。

私たちのゼミは、2019年7月に大宜味村でカカオ栽培に取り組んでいるローカルランドスケープの川合径さんの農場を訪ね、栽培の現状を見学させていただきました。

大宜味風景.jpg
緑の色濃い大宜味村田嘉里の風景。

DSC02324.jpg
カカオ栽培に取り組んでいる川合径さん。

川合さんは東京から2016年3月に沖縄に移住、まだ苗木は成育中で実はなっていません。
沖縄は北緯26度で、カカオベルト(赤道を挟んで南北20度以内)の外にあるため、ハウスを使う必要があります。

DSC02300.jpg
大宜見村田嘉里にある川合さんのカカオ栽培農場。

のぞいているところ.jpg
中を見せてもらいます。

DSC02301.jpg
ハウスの中。カカオの苗木がたくさん並んでいました。

DSC08201 2.jpg
カカオのつぼみ!幹から直接咲くのに驚き!

DSC08205 2.jpg
ランのような繊細な花。これがカカオの実になります。

花は咲いていますが、まだ実がなっていないので、現在はガーナ産のカカオを使って地域の食材を活かしたチョコレートを国頭村の工房でつくって販売しているとのことです。

DSC02346.jpeg
ローストされたカカオ豆。このまま食べても香ばしい味です。

DSC02334.jpg
国頭村にある川合さんの工房&ショップの「オキナワカカオ ファクトリー&スタンド」で。

大宜味村のシークワーサー、沖縄で自生しているカラキと呼ばれるシナモン、月桃、地元のやんばる酒造の泡盛(まるた)を使用したチョコレートも。

DSC02412.jpeg
大宜味産の特産入り。

DSC02343.jpeg
オキナワカカオのチョコレートは薄くて舌の上でとろけるような感じ。繊細な味わいです。

まるき.jpeg
地元の酒造所、やんばる酒造の泡盛「マルキ」入りのチョコレートも!

日本でのカカオ栽培は賃金も高く、ハウス栽培となるため、コストが高くなってしまいます。そのため、スペシャリティコーヒーのように、産地限定のカカオとして価値の高いブランドに育てていく必要があると川合さんは考えています。カカオの味は7−8割、栽培地と品種と発酵で決まるそうです。現在、川合さんは「オキナワカカオ部」と称して栽培者を増やし、他の人たちと連携しながらカカオの生産地としてのノウハウを育てていくことを目指しています。

ハワイのチョコレートは高級品となっているそうですが、大宜味から始まった100%沖縄産のチョコレートも高級ブランドとして売られる日が来る・・ことを私たちも楽しみにしています!

DSC08211.jpg
露地栽培の苗木の育成も試みているそうですが、冬の寒さが厳しいようです。

なお、川合さんがつくる大宜味の特産品が入ったチョコレートは、工房のある国頭村の「オキナワカカオ ファクトリー&スタンド」で購入することができます。58号線沿いのわかりやすい場所にあります。チョコレートドリンクや、チョコレートソースがけのジェラート、コーヒーもテイクアウトできます。

川合さんのチョコレートは空港のJTAショップを始め、中南部でも購入可能とのことです。ぜひ味わってみてください!

オキナワカカオホームページ:http://okinawacacao.com

担当:おくま、じゃはな
編集:O