沖縄の新しい農産物その4 紅茶

沖縄の新しい農産物、第4弾は「紅茶」です。

沖縄市にある「沖縄ティーファクトリー」を訪問し、沖縄の紅茶生産者、ブレンダーとして知られる代表の内田智子さんにお話を伺いました。スリランカで紅茶の技術を習得した内田さんは、1995年から沖縄を世界有数の紅茶産地としようと取り組んでこられました。

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2019年8月にゼミで沖縄市にある沖縄ティーファクトリーを訪問させていただきました。

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紅茶は水の次に、世界で最も飲まれている飲料です。コーヒーチェーンが有名なのでコーヒーの方が多いように思われがちですが、紅茶の方が圧倒的に飲んでいる人口が多い。煮沸して飲むので途上国でも推奨されています。

「ティーベルトゾーン」は北緯30度までと言われ、北緯26度の沖縄はそこに含まれています。世界的な紅茶産地のインド・アッサム地方とほぼ同緯度です。
沖縄の太陽の光は日本の中でも特に紫外線が強く、紅茶に不可欠なタンニンを生成するのに最適であると言われています。
また沖縄の赤土は、紅茶産地であるスリランカと同様、抗酸化作用のある弱酸性の土です。窒素などの養分が少なく、海に近くてミネラル分が豊富な土。養分が少ないからこそ、紅茶の木はゆっくりと成長し、時間を掛けてたっぷりと紫外線を吸収できます。
さらに、硬水でミネラル分が豊富な湧き水が加わり、タンニンを豊富に含む上質な茶葉の紅茶を育てるには、金武湾から大浦湾は最適の場所です。

茶の木には中国系とアッサム系(インド)があります。アッサム系は15mくらいの高さに育ち、葉っぱも大きい樹種です。ダージリンは高地で栽培されますが、アッサムは標高800メートル程度の畑で作られています。
沖縄では「べにほまれ」「べにふうき」「べにひかり」の3種の茶葉を農家に栽培してもらっています。
中でも「べにほまれ」は明治政府が100年以上前にインドから日本に持ち帰った紅茶の木で、世界でも希少な品種です。貴重な原木から挿し木をし、時間をかけて沖縄の地に定着させてきました。
茶の木の苗は2,3年、収穫できるようになるにはさらに4,5年かかります。

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茶の木の芽の部分。

世界の紅茶3大産地はダージリン、ウバ、キーマンです。琉球紅茶は世界3大紅茶に並ぶ第4の紅茶と言われるほどに特徴的です。

琉球紅茶は海外では高く評価されています。フランスの紅茶協会では本部の人が一口飲んで、ぜひプレゼンに来るように非常に熱心に勧めてくれました。沖縄は産地として飛び抜けています。

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ブレンダーであり、テイスターである内田さんは、海外の市場を見ている。だからパッケージの和紙も岐阜の美濃和紙を使っている。
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沖縄産だけの紅茶を使ってできたのが「月夜のかほり」。100グラム1万円。銀座のトップクラスのレストランで出されている。

内田さんがブレンドする紅茶は、国内外の有名ホテル、レストラン、カフェで使われています。シンガポールや香港のミシュラン星付きレストランでも琉球紅茶が使われているそうです。また、ファミリーマートなど、企業と提携したオリジナル紅茶やブレンドの監修も手がけているそうです。

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紅茶は油脂や糖分を混ぜるとおいしくなる。だしと同じで(お湯に塩や油分を入れてもおいしくならない)アロマとボディがある飲み物。

紅茶のマーケットが育つことが必要です。そのためにはホテルの人たちが味を知らないといけない。北部のカヌチャリゾートでも敷地内に「べにほまれ」が植えられ、その茶葉を使ってシェフ自身が紅茶をつくるお手伝いをしました。人の手には常在菌があるため、その種類によって味が変わります。それぞれの手もみで味が違うのがおもしろいところです。

紅茶の畑は無農薬、無施肥で農薬や肥料、赤土の流出もありません。サトウキビやパイナップルの栽培地と聞くととてもやせた土地と思われがちですが、紅茶には最適です。スリランカではパイナップルと茶の木を一列ずつ植えることもあり、赤土流出防止や防風林としても適しています。
茶の木を植えることでカーボンオフセットにもなります。お茶の木1本で年間50トンの二酸化炭素をオフセットできます。

紅茶産業は環境保全にも役立つ訳ですね。

紅茶は流通から技術、マーケティングなど、川上から川下まですべて含みます。紅茶の流通は1トンから。トレーサビリティがもっともわかりやすい商品です。紅茶の産業としての理解が必要です。

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今回の訪問で、紅茶産地としての沖縄の魅力や可能性を知り、沖縄にとって、紅茶は重要な価値を持つ商品であることがわかりました。内田さん、お忙しい中、詳しく教えていただき、ありがとうございました。紅茶についての知識が増え、がぜん興味も出てきました!

 

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担当:かみざと、うえち
編集:O

 

参考URL: 沖縄ティーファクトリー http://www.okitea.com/

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